はじめに
「iDeCo(イデコ)って節税になるらしいけど、実際いくらお得なの?」——ここが一番のギモンですよね。今回は年収別の節税額から、30年積み立てたときの総額まで、ぜんぶ具体的な数字で計算してみました。さらに2026年1月から始まった受け取り時の新ルール「10年ルール」も、やさしく解説します。読み終わるころには、あなた自身の節税額がざっくり見える状態を目指します。
そもそもiDeCoの「3つの節税」って?
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で積み立てて自分で運用する、いわば「じぶん年金」の制度です。国が用意した仕組みで、税金の面で大きく優遇されています。優遇は次の3つの場面で効いてきます。
まず「積み立てるとき」。払った掛金の全額が所得控除(=税金の計算対象から差し引ける金額)になります。つまり、その分の所得税と住民税が軽くなります。今回のメインテーマはここです。
次に「運用しているとき」。ふつうの投資では、増えた利益に約20%の税金がかかります。iDeCoの中で出た利益にはこれがかかりません(非課税)。
最後に「受け取るとき」。一時金なら「退職所得控除」、年金なら「公的年金等控除」という別の控除が使えます。ここは後半で2026年の新ルールとあわせて説明します。
まずは一番わかりやすい「積み立てるときの節税」を、数字で見ていきましょう。
節税額の計算式は、実はシンプル
積み立てるときの年間節税額は、次の式で計算できます。
年間の節税額 = 1年間の掛金 ×(所得税率 + 住民税率10%)
住民税は基本的に一律10%。所得税率は所得が多いほど段階的に上がる仕組み(累進課税)で、5%〜45%の間で決まります。つまり「所得が高い人ほど、iDeCoの節税インパクトが大きい」というわけです。
たとえば所得税率10%の人なら、掛金の合計に対して 10%+10%=20% が戻ってくるイメージ。1年で27.6万円(月2.3万円)積み立てたら、約5.5万円の節税になります。「積み立てているだけで、年に5万円以上の割引券がもらえる」と考えると、そのお得さが伝わるでしょうか。
【年収別】1年でいくら節税できる? 早見表
会社員(企業年金なし)の現在の掛金上限は月2.3万円(年27.6万円)です。この上限額を積み立てた場合の、年収別のざっくり節税額をまとめました。所得税率は、各年収でよくある課税所得の目安から設定しています(扶養や各種控除で個人差があるため、あくまで概算です)。

年収300万円台の人でも年4万円、600万円を超えると年8万円以上の節税に。これが毎年、積み立てを続けるかぎりずっと続きます。銀行預金の利息がほとんどつかない時代に、この「確実なリターン」はかなり心強い数字です。
職業によって上限が違う点に注意
iDeCoの掛金上限は、働き方によって決められています。上限が大きいほど、節税できる金額も大きくなります。現在の主な区分は次のとおりです。

なお、2026年12月からの制度改正で、会社員(企業年金なし)は月6.2万円、自営業は月7.5万円へと上限が大きく引き上げられる予定です。上限が上がれば節税できる金額もさらに増えるので、改正後の掛金アップも将来の選択肢になります。
ちなみに専業主婦(主夫)の方は、そもそも所得税・住民税を払っていないケースが多く、その場合は「積み立てるときの節税」の効果は出ません。運用益の非課税メリットを中心に考えるとよいでしょう。ここは勘違いしやすいポイントです。
【本命】30年積み立てたら、節税総額はいくら?
iDeCoの真価は「長く続けるほど効いてくる」ところにあります。会社員が月2.3万円を30年間積み立てたと仮定して、税率ごとの節税総額を計算してみました。

税率30%の人なら、30年で約248万円もの節税に。これは「運用でどれだけ増えたか」とは別に、税金が戻ってくるだけで得られる金額です。しかも、この戻ってきたお金をさらに投資に回せば、複利でふくらむ可能性もあります。
ここに、運用益の非課税メリットも上乗せされます。たとえば30年間で運用益が合計500万円出たとすると、ふつうなら約20%=約100万円が税金で引かれますが、iDeCoならこれがゼロ。「積立の節税」と「運用益の非課税」を合わせると、生涯でのメリットは数百万円規模になることも十分あり得ます。
節税額を「見える化」してみる
税率合計20%の会社員が、月2.3万円を積み立てた場合の節税額の伸び方を、年数ごとに表にしました。数字の積み上がりを感じてみてください。

10年で約55万円、20年で約110万円と、時間が味方になって着実に積み上がっていくのがわかります。「早く始めるほど有利」と言われるのは、この年数の力があるからです。
具体例で見てみよう:会社員Aさんの場合
数字だけだとイメージしづらいので、具体的な人物で考えてみます。
会社員のAさん(35歳・年収500万円・企業年金なし)が、月2.3万円のiDeCoを60歳まで25年間続けたとします。税率合計は20%と仮定します。
まず、積み立てるときの節税額。年間の掛金27.6万円に対して、20%=約5.5万円が毎年戻ってきます。25年続ければ、5.5万円 × 25年 = 約138万円。これだけで、ちょっとした新車の頭金くらいの金額です。
次に、運用益の非課税メリット。仮に25年間の運用で利益が400万円出たとすると、ふつうの投資なら約20%=約80万円が税金で引かれますが、iDeCoならゼロ。
つまりAさんは、「積立の節税で約138万円」+「運用益の非課税で約80万円」=あわせて約218万円分のメリットを、この制度を使うだけで受けられる計算になります。もちろん運用成績によって金額は上下しますが、「税金の面だけでこれだけ差がつく」というのは、知っているかどうかで大きく変わるポイントです。
一方で、Aさんが気をつけたいのが受け取りのタイミングです。60歳前後で会社の退職金も受け取る予定があるなら、次に説明する「10年ルール」の影響を考えておく必要があります。
【2026年の時事】受け取り方で損しないための「10年ルール」
ここまで積み立てのメリットを見てきましたが、忘れてはいけないのが「受け取るとき」の話です。実は2026年1月から、受け取り時のルールが変わりました。これが今回の最重要トピックです。
iDeCoを一時金で受け取ると「退職所得控除」という大きな控除が使えます。ただし、会社の退職金とiDeCoの両方を受け取る場合、控除が二重に使えないよう調整する仕組みがあります。
これまでは「iDeCoを先に受け取り、5年空けてから退職金を受け取れば、控除をそれぞれフルに使える」という、いわゆる「5年ルール」がありました。これが2026年1月からは「10年ルール」に延長されたのです(参考:税理士による解説記事「iDeCo・退職金で一番得する受け取り方」ほか)。
つまり、iDeCoと退職金の受け取り時期が10年以内に近いと、退職所得控除が重複分だけ減ってしまい、想定より税金が増える可能性があります。ケースによっては数十万円単位で変わることもあるので、注意が必要です。
対策の考え方は、次のように整理できます。

大切なのは、「受け取り方は人によって最適解が違う」ということです。退職金の金額、受け取る年齢、他の年金の状況によって答えが変わります。受け取りが近づいてきたら、勤務先の退職金額を確認し、必要に応じて税理士やファイナンシャル・プランナーに相談するのがおすすめです。積み立てで得したぶんを、出口で取りこぼさないようにしたいですね。
iDeCoを始める前に知っておきたい注意点
節税メリットが大きいiDeCoですが、良いことばかりではありません。始める前に、次の点は必ず押さえておきましょう。
一番大きいのは「原則60歳まで引き出せない」こと。老後資金づくりに特化した制度なので、急にお金が必要になっても途中で引き出せません。生活防衛資金(急な出費に備えるお金)を別に確保したうえで、無理のない掛金にすることが大切です。
もう一つは「手数料がかかる」こと。加入時や毎月の口座管理手数料がかかります。金融機関によって差があるので、口座管理手数料が安いネット証券などを選ぶと、長い目で見て差がつきます。
まとめ:まずは「自分の節税額」を計算してみよう
今回のポイントを振り返ります。iDeCoの積み立ての節税額は「年間掛金 ×(所得税率 + 住民税10%)」で計算でき、年収400〜500万円の会社員なら年5万円ほど、30年で165万円ほどの節税が期待できます。所得が高い人ほど効果は大きく、運用益の非課税分も上乗せされます。一方で、2026年1月からの「10年ルール」で受け取り方には注意が必要になりました。
具体的な行動として、次の3ステップをおすすめします。まず、自分の所得税率をざっくり把握して、この記事の式で年間節税額を計算してみること。次に、生活防衛資金を確保したうえで、無理のない掛金額を決めること。そして、口座管理手数料の安い金融機関を選んで口座を開くこと。
「節税しながら老後資金を育てられる」
これがiDeCoの一番の魅力です。まずはあなた自身の節税額を電卓でたたいてみるところから、始めてみてはいかがでしょうか。
本記事は2026年7月時点の情報をもとにした一般的な解説です。税額や控除は個人の状況によって変わります。実際の判断は最新の公式情報の確認や、専門家への相談をおすすめします。
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最後にひとつ質問です。あなたは今、iDeCoを活用していますか?毎月の掛金はいくらにしていますか?よかったらコメントで教えてください。まだの方は「気になっている」だけでも大歓迎です。
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な判断はご自身の責任で行っていただき、本記事内容に基づく損失について当サイトは一切の責任を負いません。
