金利が上がるとreitは下がる?    「利上げ局面のreit」との正しい付き合い方【2026年7月・金利1.0%時代版】

金利が上がるとREITは下がる?    「利上げ局面のREIT」との正しい付き合い方【2026年7月・金利1.0%時代版】

はじめに

2026年6月、日本銀行が政策金利を1.00%へ引き上げ、長期金利(10年国債の利回り)は一時2.5%を超えました。これを受けて東証REIT指数は約1年ぶりの安値まで下げ、J-REIT(日本の不動産投資信託)の分配金利回りは5%台に上昇しています。「金利が上がるとREITは下がる」とよく言われますが、それは本当なのか、なぜそうなるのか、そして下がった今こそ買い時なのか。この記事では、利上げ局面のREITとの付き合い方を、仕組みからやさしく解説します。


そもそもREITってなんだっけ?(30秒でおさらい)

REIT(リート)は「Real Estate Investment Trust」の略で、日本語では「不動産投資信託」と呼ばれます。たくさんの投資家からお金を集めて、その資金でオフィスビルやマンション、物流倉庫、ホテルなどを買い、そこから得られる家賃収入を投資家に「分配金」として配る仕組みです。

大きな特徴は次の3つです。まず、数万円程度から不動産のオーナーになれること。次に、証券取引所に上場していて株式のようにいつでも売買できること。そして、利益の90%超を分配すれば法人税がほぼかからない仕組みになっているため、分配金利回りが比較的高くなりやすいことです。

このうち3つ目のポイントが、実は「金利」と深く関わってきます。ここが今日の本題です。


2026年、金利が上がってREITが下がった

まず、いま何が起きているのかを数字で確認しましょう。

日本はここ数年、少しずつ金利を上げてきました。日銀は2026年6月15〜16日の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%から1.00%へと0.25%引き上げました。これで政策金利は約17年ぶりの水準となりました。長期金利の指標である新発10年国債の利回りも、日銀の早期利上げ観測を背景に一時2.5%を超える場面がありました。

この金利上昇が重しとなり、東証REIT指数は2026年6月に約1年ぶりの安値をつけ、J-REITの平均分配金利回りは5%前後まで上昇しました(2025年時点では4.4%程度でした)。野村證券は、日銀が2026年中にあと数回の利上げを行うシナリオも示しており、金利上昇はまだ続く可能性があります。

つまり、「金利が上がる → REITが下がる → 利回りが上がる」という動きが、まさにいま目の前で起きているわけです。ではなぜ、金利が上がるとREITは下がるのでしょうか。


なぜ金利が上がるとREITは下がるのか?   3つの経路

金利上昇がREITの価格を押し下げる理由は、大きく3つの経路に分けて考えると分かりやすいです。

経路1:他の金融商品と「利回り競争」で負ける

REITの魅力は「高めの分配金利回り」です。しかし金利が上がると、国債や預金など「値下がりしにくい安全な商品」の利回りも上がります。10年国債で2.5%もらえるなら、わざわざ値動きのあるREITを5%で持つ意味が薄れます。すると投資家はREITを売って国債などに移るため、REIT価格が下がる。これが1つ目の経路です。

経路2:借入コスト(金利負担)が増える

REITは投資家のお金だけでなく、銀行からの借入も使って不動産を買っています。金利が上がると、この借入の利息が増え、その分だけ分配金の原資が減ります。ただし、多くのJ-REITは長期・固定金利で借りているため、影響はゆっくり時間をかけて表れます。すぐに分配金が激減するわけではありません。

経路3:不動産そのものの評価が下がりやすくなる

不動産の価値は「その物件が生む家賃 ÷ 期待利回り」でざっくり計算されます。金利が上がると投資家が求める利回り(期待利回り)も上がるため、同じ家賃でも計算上の不動産価値は下がりやすくなります。これがREITの「純資産価値(NAV)」を押し下げる方向に働きます。

この3つの経路を一覧にすると、次のようになります。

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ここで大事なのは、「金利上昇=即・分配金激減」ではないという点です。特に経路②は時間差があるため、価格の下落が先行し、実際の分配金は意外と底堅い、というズレがよく起こります。このズレこそが、あとで触れる「チャンス」の正体でもあります。


ただし「金利が上がる理由」で影響は変わる

「金利が上がるとREITは下がる」は、いつでも当てはまるわけではありません。カギは「なぜ金利が上がっているのか」です。

金利が上がる背景には、大きく2つのパターンがあります。1つは「景気が良くて、インフレ(物価上昇)を抑えるために上げる」という前向きな利上げ。もう1つは「悪いインフレや通貨安を止めるための、やむを得ない利上げ」です。

前者のように景気が良くて金利が上がる場合は、家賃や不動産価格も一緒に上がりやすいため、REITにとってマイナスばかりではありません。実際、2026年の日本は賃料の増額が続き、国内不動産市況は比較的良好とされています。金利負担が増える一方で、家賃という「収入」も増えていれば、ダメージは相殺されます。

一方、景気と関係なく金利だけが急に上がる局面では、経路①③の売り圧力が強く出て、REITは下がりやすくなります。今の日本は「賃料は上がっているが、金利上昇のスピードが速い」という、両方が綱引きしている状態と言えます。


用途別に見る「金利への強さ・弱さ」

ひとくちにREITと言っても、何に投資しているかで金利への強さは大きく変わります。ポイントは「家賃を値上げしやすいかどうか(インフレへの追随力)」と「借入への依存度」です。

家賃の契約期間が短く、こまめに値上げできる用途ほど、金利・物価の上昇に対して強いとされます。逆に、長期契約で家賃が固定されている用途は、金利だけが上がると相対的に不利になりやすいです。

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たとえば、宿泊料金を毎日変えられるホテルREITは、インバウンド(訪日外国人)需要も追い風に、物価上昇に合わせて収入を伸ばしやすい用途です。一方で景気が悪化すると収入が急減するリスクもあり、値動きは大きめです。逆に住宅REITは、人が住む場所という性質上、景気が悪くても空室になりにくく、分配金が安定しやすいのが強みです。

「金利が上がって不安だから、少しでも守りを固めたい」という人は住宅中心、「多少の値動きは受け入れて収益を狙いたい」という人はホテルや商業を混ぜる、といった具合に、自分のタイプに合わせて選ぶのがコツです。


下がった今は「買い時」なのか?       利回りで冷静に考える

価格が下がって利回りが上がった今、多くの人が気になるのは「じゃあ買い時なの?」という点でしょう。ここは断定を避け、判断材料を整理します。

REITの割安・割高を測る代表的なものさしが「分配金利回り」と「長期金利との差(イールドスプレッド)」です。イールドスプレッドとは、REITの利回りから長期金利を引いた数字で、「国債よりどれだけ多くもらえるか」という上乗せ幅を表します。この差が大きいほど、REITは相対的に割安と考えられます。

2026年7月時点をざっくり数字にすると、次のようになります。

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ここから読み取れるのは、REITの利回り自体は5%台に上がって魅力的に見える一方で、長期金利も同じくらい上がっているため、「国債と比べた割安感」はそれほど広がっていない、という現実です。つまり「利回り5%」という数字だけを見て飛びつくのではなく、長期金利との差で相対的に判断することが大切です。

とはいえ、5%前後という利回り水準は過去の平均と比べても高めであり、長期でコツコツ配当を受け取りたい人にとっては、悪くない仕込み場だと考える専門家も少なくありません。最終的にどうするかはご自身の判断になりますが、少なくとも「金利が上がった=REITは絶対ダメ」という単純な話ではない、ということは覚えておいてください。


利上げ局面でREITと付き合う5つの心得

最後に、いまのような金利上昇局面でREITとどう付き合えばよいか、実践的なポイントを5つにまとめます。

第一に、価格だけでなく利回りとイールドスプレッドを見ること。価格が下がって怖く感じても、利回りが上がっているなら「同じ配当をより安く買える」局面でもあります。

第二に、一度に全額入れず、時間を分けて買うこと。金利がどこまで上がるかは誰にも分かりません。毎月一定額を積み立てるように少しずつ買えば、高値づかみのリスクを減らせます。

第三に、用途を分散すること。1つのREIT ETF(複数のREITをまとめた商品)を使えば、住宅・物流・ホテルなど幅広い用途にまとめて投資でき、特定の用途の不調に振り回されにくくなります。

第四に、分配金の「原資」を確認すること。無理な借入や物件売却益で高い分配金を出しているREITは、金利上昇局面で息切れしやすいので注意が必要です。

第五に、あくまで資産全体の一部にとどめること。REITは株式と不動産の中間のような値動きをします。株・債券・現金などと組み合わせ、資産全体の1〜2割程度を目安にすると、金利で揺れても落ち着いて持ち続けられます。

これらを一覧にすると、次の通りです。

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まとめ・今日からできる一歩

今回の内容を振り返ります。2026年は日銀の利上げ(政策金利1.00%)と長期金利の上昇を受けて、東証REIT指数が下がり、J-REITの分配金利回りは5%台に上がりました。金利上昇がREITを押し下げるのは、①利回り競争、②借入コスト増、③不動産評価の低下という3つの経路があるためです。ただし「なぜ金利が上がるのか」や「どの用途に投資するか」で影響は大きく変わり、賃料が上がっている今の日本では、マイナスばかりとは言い切れません。

大切なのは、価格の下落だけを見て怖がったり、利回りの高さだけを見て飛びついたりしないこと。長期金利との差(イールドスプレッド)で冷静に割安度を測り、時間と用途を分散しながら、資産全体の一部として付き合うことです。

今日からできる一歩として、まずはお使いの証券口座で「REIT ETF」を1つ検索し、今の分配金利回りと、10年国債利回りとの差を計算してみてください。数字で自分の目で確かめることが、金利に揺れない投資家への第一歩になります。


※この記事は情報提供を目的としたものであり、特定の商品の購入を勧めるものではありません。投資の最終判断はご自身の責任と余裕資金の範囲でお願いします。

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最後にひとつ質問です。あなたはいまREIT(不動産投資信託)を持っていますか?この金利上昇局面では、買い増し・様子見・売却のどのスタンスですか?よかったらコメントで教えてください。

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な判断はご自身の責任で行っていただき、本記事内容に基づく損失について当サイトは一切の責任を負いません。

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